『魔法少女』で始めよう
移転最初のエントリーで何をやろうかなぁ、と思っていたのですが、以前、やまぐう様のフォアテリ小文「魔法少女、白ちゃん」を読んでから、今回公開させていだく絵を描かせていただきました。そのときは、小文も続きが出るとは思わず、絵も特に公開する予定ではなかったのですが…先のことは分からないものです(笑)
この小文自体はちょっと前に頂いていたのですが、今回の移転に合わせてお祝いとして掲載の許可を頂ました。魔法少女(?)の衣装を着た白ちゃんを楽しんでいただければ幸いです♪(絵はクリックすると大きな絵になります)
【『FORTUNE ARTERIAL』東儀白「魔法少女、白ちゃん。誕生」 by やまぐう様】
「やあ諸君。さあさあこれを見てくれ」
バンと勢いよくドアを開け、颯爽と監督生室に入ってきて、妹の口が開くより先に千堂伊織は持参してきた物を机にひろげた。
生徒会の三人が呆気に取られる。きらびやかなそれは、魔法少女の衣装。脇に並べられたのは小道具の杖。台本だけでは飽き足らず、伊織は主役がまとう華麗なる衣まで用意していた。
「まあだ諦めてなかったんかい!」
意気揚々と説明しようとした伊織の体は、怒髪天を衝いた瑛里華の手により窓から飛んでいってしまった。登場から退場まで、二分となかった。
「……で、これはどうするんだ」
残された服を見下ろし、副会長である孝平が尋ねると、
「どうでもいいから、さっさと片づけて。仕事の邪魔よ」
さっぱりした顔の会長はひらひらと手を振って、なかったことにする。
一歩離れたところにいる財務の少女は、見たい気持ちとあまりじろじろ見てはいけないという気持ちに挟まれているらしく、きらびやかな衣装をちらちらと盜み見ている。
「わかった」
孝平は魅力的な服を手早く畳むと、会長に気づかれないよう白へ向けてウインク。その目に含むものを感じ、白はぴくっと身じろぎ。可憐な唇を開きかけたが、言葉は出なかった。
孝平の手により場違いな服が消えたことで、闖入者があったことも忘れられ、三人とも仕事に励む。
伊織が用意したコスチューム一式は、その日の夜すぐ、孝平の部屋へ移送された。わざわざ彼女のために用意された魅力的な服を、その人に着せない手はない。持ち帰る道すがら孝平は隣りを歩く白へ、伊織よりもよっぽど熱をこめてお願いした。まとう側の少女は、ふたりきりの場でならと、はにかみながらも提案を受け入れた。
鍵のかかった男の部屋で衣装が白の手に渡り、孝平は背中を向けた。しゅるっという衣擦れの音が後ろから聞こえるたびに、音を出さずに固唾を呑んでしまう。
「……はい。いいですよ」
声からしてもう羞じらいが含まれている。
孝平はひとつ間を置いて胸を落ち着け、くるっと身をまわした。

「うん、よく似合ってる。さすが伊織先輩だ」
「……は、はい」
孝平が感嘆の声をあげ、白はもじもじ。それでもすぐ、うつむいていた顔を起こし、服に負けないチャーミングなほほえみを浮かべる。
コスチュームの大きさは白にぴったり。前会長が白のボディサイズをどうやって知ったのか追及したくもあったが、こんなに素敵な姿を作り出したことへの感謝の念のほうが大きかった。
白がついつい裾をいじってしまうくらいスカートは短いが、普段滅多に見せることのない絶対領域の存在がいかにも魔法少女っぽさを醸し出している。
「じゃあ、いいよね」
孝平はじっくり観賞してから、自分のデジカメを手に取った。そのことも帰り道で提案されていたから、恥ずかしさこそあるものの白に異存はない。
胸を躍らせて孝平は、変身してこの場に参上した魔法少女の撮影を開始した。
初めのうち、ジーッというシャッター音が鳴るたびに白の緊張が高まっていった。だがあるときを境に、リラックスできるようになり、今のコスチュームに合った表情を見せるようになる。
「うん、うん。白ちゃん、とっても可愛い。ちょっと手をあげてみてくれるかな」
「こうですか?」
「オッケー」
注文をつけては、自分好みの彼女を何枚も記録していく。
「次はフル装備でいこう」
「は、はい」

ローレル・リングの制服をベースにした白いマントを装着し、杖を構えた白は、完璧な魔法少女といっていい。その杖をさっと振るえば、どんな願いも叶えてくれそう。
「人の生き血を啜る悪は、太陽に代わっておしおきです……って、こんなのでいいんでしょうか?」
「うん、いいよ。固く考えなくていいんだ。写真だからセリフは写らないし」
台本から抜き出してきたそれっぽいセリフを言わせると、魔法少女らしさが増す。写らないとはいえそのセリフにより白はポーズをぴしっと決めて、格好がつく。
魅惑の姿を画像に記録し、目で直にも見ているうちに、孝平の頭がぽうっとしてきた。
瞬きをして、目の前を確かめる。そこには、小首をかしげてほほえむ愛しい人が、いつもとまったく違う格好でいる。見ているだけで胸が激しく脈打つ。激しい胸の高鳴りに、見ているだけではいられなくなる。
「なんか、俺、白ちゃんの魔法にかかったみたい」
カメラを下げ、大きく息を吸っては吐き、華麗な少女を凝視しながらつぶやく孝平。
「え、ええっ!? わたし、魔法なんて使えません。使ってません」
「いや、白ちゃんは俺に魔法を使えるよ。俺を虜にする魔法を……」
カメラを置き、ゆっくりと近寄る。大切な彼女が魔法を使って消えたりしないよう心配しながら、手の届く位置へ足を進める。
彼の思いに気づいた白は、はっと小さく口を開いてから、今まで以上に魅惑的なほほえみを浮かべて言葉を返す。
「その魔法はきっと、支倉先輩が教えてくれたんです。だって、先輩だって今、私に魔法をかけてます」
白はすっと杖を伸ばし、瞳を閉じて小さくささやく。
少女が放ったのは、たった四文字の呪文。孝平が唱えかえしたのは五文字の呪文。
愛しあう者同士がたがいにかけた呪文はふたりの距離を瞬時にゼロにして、温もりと愛しさをこの空間いっぱいにひろがらせた。
いかがだったでしょうか♪ 女の子はいつでも素敵な魔法を使えるんですね~(^^)
さて、バリアジャケット…もとい、伊織の用意した魔法少女服について若干のご説明。
基本的にはローレルリングがベースになっているのですが、色々な部分でブタベの趣味に作り変えています(ラインを黒にして、帽子を大きく)。中身はフォーチュン・アテリアルに足りないセーラー服分をたっぷりです(笑) 白が着る服なので、極端にはフリフリにせず、可愛くシックに…なんか微妙に相反する要素を入れているような気もしますが、この辺はやっぱり趣味ですので(笑)
こんな服の白がいたら、孝平でなくてもメロメロになるかなぁ、と思いながら描かせていただきました。こういう、本編設定無視のやりたい放題はとっても楽しいです(いつもやっていることのような気もしますが)。
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というわけで、移転第一回目のエントリーでした。これからもこんな感じの絵とエントリーになるとは思いますが、見捨てずにお付き合いいただけると嬉しいです。
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移転に合わせて、ブログタイトルも『Sketches and company』に変更いたしました。基本的には“ブタベの絵とその他もろもろ”の意味です。
>冥界の性神官様
おかしい…本人の紹介では「品行方正な優等生神官」のはずなのに…邪念だらけだというのか(^^;ブタベストPERFECT GIRL…?No Titleこんばんは、いつも見ているゾ。
>担当声優沢澤砂羽さんの声は演技力高くて中毒性がありますねー。
冥界の性神官様ェ・・サツキヒスイ冬が始まる…よ?もうすぐ春ですねぇ、と春分直前に言う人ついに春になってしまいました…返信できてなくてすみませんです。
> なぜか不正な投稿扱いに…なんでだ
むむ、すみません。
イマイチFC2ブログのセキュリティの網はブタベスト冬が始まる…よ?ようやく寒くなってきましたコメントを書こうとしたらなぜか不正な投稿扱いに…なんでだ。
恐ろしく暖かいかと思えば急激に寒くなったりと変動が激しいですね。
こちらも文章や改造絵が遅々としてひでやん