笹の葉らぶこめでぃ
某月のお姫様の恋も似たようなものですが…そういえば『あけるり』ではそういう時期なのに七夕のお話は出ませんでしたね。
七夕、ということで早坂さんから『冬のないカレンダー』のおまけストーリーをいただきました。
いつもドタバタな二人+二人ですが、それぞれの願い事は…?
冬のないカレンダー Appendix Story 「いつまでもみんなと一緒にいられますように」
「ただいま」
「お帰りなさい♪」
家に帰った俺を出迎えた声は妙に弾んでいる。
「・・・」
嫌な予感がする、こう言うときの俺の感は悲しいくらいに的中する。
かといって夕方になって帰宅した俺に逃げ場所は無い。
「はぁ・・・」
とりあえず部屋に籠城でもするか? そう思ったときインターフォンのなる音がした。
「こんにちはー」
玄関にいる俺が振り向くよりも早く、扉は開く。
そこにいるのはもはやお約束だろう、アイツとおばさんだった。
この二人が来たと言うことは、もう取り返しのつかない所まで事態は進行している事を表している。
「・・・はぁ」
俺はため息をついた。
「かんぱーいっ!」
「今日は平日なんだから自重しろよ?」
夕食の前の乾杯で、俺は一応釘をさす。
「だいじょーぶよ、これは0%の飲料水だから」
「そうそう、だから無礼講よ♪」
おふくろとおばさんの二人でグラスを打ち合い、あおる。
確かに手元に転がってる空き缶は、度数0をうたう飲料水だ。
「ちょっと苦いけど・・・くせになりそう」
いつの間にかアイツも飲んでいる。
「ほら、あんたもそんな顔してないで飲みなさいよ」
そう言うおふくろは俺のグラスに注ぐ。
「わかったって」
度数0なら問題ないだろう。
「乾杯っ!」
無理矢理グラスを持ち上げさせられ、乾杯をさせられる。
俺はそのままグラスをあおる。
確かに度数0のはずなのだが、つきあわされて飲むビールと同じ感じがする。
「最近のノンアルコール飲料って、本物そっくりだな」
「ふふっ、これでならしておけば将来強くなるわよ」
「別に俺は飲めなくても構わない」
「駄目よ、相手より先につぶれちゃ意味無いじゃない」
「一体どういう意味だよ」
「はい」
パーティーという名の宴会が始まって少し立った頃、アイツが俺に渡してきた。
「・・・短冊?」
「そうだよ、今日は七夕だもん。お願い事書こうよ」
ここまで来て俺は気づく、今日は七夕で、それにかこつけた宴会をしていることに。
「俺も相当鈍いな」
「ん?」
「いや、なんでもない」
俺は席から立ちリビングの方へ移る。
そこにはいつの間にか笹が立てかけられていた。それもご丁寧に飾りもいっぱいつけられている。
いつのまに・・・とはもう思わない。
こういうところは抜け目がないおふくろ達だからだ。
「キミは何のお願い事するの?」
そう言われて、俺は何を願うのだろうか?
「俺の願い・・・」
ペンを持つ手が進まない。
俺の願いって一体なんなのだろう?
そんな葛藤をよそ目にアイツは願い事を書き、笹につるす。
俺は思わずその願い事に目を走らせる。
「いつまでもみんなと一緒にいられますように」
その短冊にはそう書かれていた。
「おかしいかな?」
「・・・いや、おかしくないな」
「そうだよね、大好きなキミと、大好きなお母さんと大好きなおばさんとずっとずっと一緒にいたいよね」
「・・・」
そこに親父やおじさんの名前がない事に涙しそうになるのをこらえる。
「今夜は晴れるかな・・・」
窓越しに、アイツは夜空を見上げる。
七夕の時期、梅雨に当たるため、晴れの夜空はなかなか見られない。
今夜も雨の予報ではあったが、まだ降ってはいない。
「あ」
「どうした?」
「ねぇ、見て!」
アイツが見上げた先の空は、そこだけが切り取られたように雲が無かった。
都会故に星空とまでは言わないが、夜空がのぞいていた。
「これで彦星さんと織姫さんは出会えたよね」
「そうだな・・・」
「良かった」
そう言って自分のことのように嬉しそうにするアイツの笑顔。
思わず顔を逸らしてしまう。
「?」
「そろそろ戻るか」
「うん!」
「ねぇねぇ、これ見て♪」
笹の所まで戻ると、おふくろとおばさんも願い事を書いた短冊をつるしていた。
「将来の息子がお義母さんと呼んでくれますように」
「将来の娘が早くお姉さんと呼んでくれますように」
「・・・どこか違うだろ」
思わずそうツッコミをいれる。
「良いじゃない、一緒よ」
「そうそう、だから今から練習しない? お義母さんって呼んで」
「そうそう、私のことはお姉さんって呼んでね」
酔っぱらいに正当な事を求める事が無理だということは俺は身をもって知っている。
「はいはい、おばさんにおふくろもいい加減にしましょうね」
「もう、いけず」
「横暴!」
「・・・」
酷い言われようのような気もするが、この程度はきにならなかった。
「ねぇ、一緒にお風呂入ろ」
「はい!?」
突然背中におばさんがのしかかってきた。
「未来の息子の背中を流してあ・げ・る」
そう言って押しつけてくる柔らかいふくらみ。
「遠慮しておきます」
「えー」
「えー言わないの」
「そうそう、諦めなさいな」
そう言って仲介に入ってきたのはおふくろ。
「一緒に入るのは私が先なんだから」
「おふくろもかっ!」
「いいじゃない、息子の成長具合を見るのは母親の特権よん」
「全力で遠慮するっ!」
俺は立ち上がって逃げることにした。
「だーめ、キミと一緒にお風呂はいるのは私だもん」
そう言って真正面から抱きついてきたアイツ。
「つーかまえた♪」
「おい、こら!」
「だめだよー、キミは私のだもん」
「えー、息子は母親の物でもあるのよ?」
「なら、将来の息子は私の物ね♪」
そう言って更に抱きついてくるおふくろとおばさん
「いいかげんにしろっ!」
「だめー、一緒にお風呂入ってくれないと許さないんだから」
「全員で入れないだろっ!」
家の風呂は何故か広いが、それでも4人ではいるなんて無理だ。
「・・・」
俺の言葉に3人が離れる。思わず安堵のため息がもれる。
「せーの! じゃんけん!」
いきなりじゃんけんを始める3人。
「聞きたくないけど、何のじゃんけんだよ」
「もちろん、順番を決めるじゃんけんだよ」
「だから何の順番・・・いや、やっぱ聞きたくないっ!」
笹の葉に飾られてる短冊。
「いつまでもみんなと一緒にいられますように」
その短冊がそっと風に揺られていた。
ノンアルコールと言っても…というお話ですね(^^;
果たして『成長具合』というのはどこの成長なのやら(笑)
この家族なら『いつまでも』の願いもきっと織姫&彦星にも届くはず。
…その前に、彼は3人に抱きつかれたこの状況をどうにかしないと(わは
『七夕』の歌で歌われている、♪のきばにゆれる というのは『軒端(のきば)』…軒下のことだったんだと今年初めて知りました。
縁側に笹を立てかけて、風鈴と一緒に笹の葉がゆれる情景が目に浮かびそうです。
○
今回は残念ながら、絵を描けませんでした。
私事でどたばたしていたのですが、悪い方向に転がってしまって、ゼロ(もしくはマイナス?)から再スタートということに相成りました。
まぁ、無駄な経験ではなかったかなー、とは思いますが、あと半日くらいは凹みそう(^^;
>冥界の性神官様
おかしい…本人の紹介では「品行方正な優等生神官」のはずなのに…邪念だらけだというのか(^^;ブタベストPERFECT GIRL…?No Titleこんばんは、いつも見ているゾ。
>担当声優沢澤砂羽さんの声は演技力高くて中毒性がありますねー。
冥界の性神官様ェ・・サツキヒスイ冬が始まる…よ?もうすぐ春ですねぇ、と春分直前に言う人ついに春になってしまいました…返信できてなくてすみませんです。
> なぜか不正な投稿扱いに…なんでだ
むむ、すみません。
イマイチFC2ブログのセキュリティの網はブタベスト冬が始まる…よ?ようやく寒くなってきましたコメントを書こうとしたらなぜか不正な投稿扱いに…なんでだ。
恐ろしく暖かいかと思えば急激に寒くなったりと変動が激しいですね。
こちらも文章や改造絵が遅々としてひでやん