【『FORTUNE ARTERIAL』 Short Story 「望まれるポーズ」 by やまぐう様】
というわけで、昨日のエントリーの朋香の絵をクリーンアップして、文章と一緒に掲載させていただきます。
今回は修智館学院の美術部部長・葛城朋香が描かれる側になるお話。皆様ならどんなポーズになってほしいですか?
【『FORTUNE ARTERIAL』 Short Story 「望まれるポーズ」 by やまぐう様】
美術部の部活がない今日、孝平君が、モデルをすることでモデルの気持ちがわかるよ、ポーズの指定もやりやすくなる、といきなり言い出した。反論しても易々と受け流され、彼になんどもモデルになってもらっているから拒むに拒めず、押し切られてしまって私がモデルをする羽目になった。
場所は孝平君の部屋。彼はスケッチブックを開き、私にあれこれポーズの注文をつける。
前は私が描く側、彼が描かれる側で、同じようにしていた。彼がしてくれたように、私もおとなしく従う。
でも彼は私と違って、なかなか鉛筆を動かさない。

むむむと声に出したのを聞いて、こちらから訊ねる。
「本当に絵を描く気があるの?」
「う~ん。慣れてなくて、手が動かない。でも、朋香先輩を絵にしたいという気持ちはマジだ」
スケッチブックに線が引かれなくても、私を見る彼の目は、ときに鋭くなる。
「マジ」という言葉に偽りはない。だから口を閉じて、ポーズを取りつづける。
……見られるだけでは落ち着かない。せめて手を動かしてくれれば。
私はずっと静物画を描いてきて、人物画を描いたのは彼が初めてといっていい。今までモデルになってくれたのは彼だけ。恋人同士になったこともあって、気安くお願いしていた。
孝平君の言ったとおり、モデルとして見られるのはいい経験だ。向こうが希望するポーズを無言で保つことが、こんなにもつらいなんて。
鉛筆が少し動いて、またとまる。動いていてもスケッチブックになにも描いていないことが私にはわかってしまう。
手をとめ、唸ってばかりになった彼の口から、別の要求が飛び出した。
「写真を撮っていい? 朋香先輩」
「え、そ、それは」
「絵を描こうとすると固くなっちゃうから、やりやすい写真で。ね、頼むよ」
顔の前で手を合わせて、こっちを拝む。下手に出ると、ひとつ下の学年相応に可愛らしくなる。こういうところが器用というか、ずるいというか。
彼の手元に、すでにデジタルカメラは用意してあった。それを目にしたときから予想と覚悟をしていたので、「ええ」と素直にうなずく。
孝平君は鉛筆をカメラへ持ち替えたとたん生き生きとした顔になり、カシャ、カシャと軽やかにシャッターを切る。ポーズの変更も、きびきびと指示してきた。
ああっ。光を感知するカメラは簡単に私の姿を切り取ってしまう。私の姿をありのまま、機械的に。
孝平君が欲しいのは私の姿。使いやすいカメラで、存分に私の姿を吸収していく。
喜んでカメラを使う彼を見ていて、嬉しくなると同時に小さな疼きが生まれた。絵を描くといってカメラを使っているから……では、ない。絵であろうと写真であろうと、モデルを務めるのに差がないのははっきりしている。じゃあ、なぜだろう?
沈黙が続くなか、カメラの音で空気がさざめいている。
音だけじゃなく、私の胸の鼓動が空気を揺らしている。
いいえ、私だけじゃない。孝平君の胸の鼓動も聞こえてくる。
シャッター音が消えていた。
孝平君の瞳に、炎がきらめいている。
「……先輩。脱いでくれないか」
なにも言いかえせない。首を横に振ろうとして、動かない
「ヌード……セミヌードでいい。下着は残していいから、飾らない先輩を、ありのままの先輩の体を記録したいんだ」
したい、という彼の熱意が痛いほど伝わってくる。「体を記録」という言葉は、性行為を求めているのとほとんど変わらない。
肉体関係まである彼を今さら拒んで、なんになろう。私は彼が好き。彼が望むのなら、私は……。
うなずくより先に、服を脱ぎはじめる。言われるまま、命じられるまま。今日の私はモデル。彼の言うとおりのポーズをとらなくてはいけないのだから。
「お尻をついて座って……膝をたてて、そう」
下着姿になって、頭がぽうっとしてきて、現実感が喪われる。彼の言葉に操られるマリオネットのように、私の体は勝手にポーズを完成させる。

いちだんと瞳を輝かせた孝平君が正面からカメラを構える。彼の前で私は、ストッキングにくるまれた脚を立てて、そのあいだにはショーツがあって、彼のカメラはそれもすべて記録しようとする。
ドクンと胸が鳴り、キュンと締まる。
だしぬけに、わかった。高まると同時に大きくなった胸の疼きは、もどかしさ。
体を捧げるときになってまで、彼にカメラを持ってほしくない。鉛筆だって、イヤ。
こうして体を孝平君に見せているのは、写真に撮られたいからじゃない。絵にしてほしいのでもない。
はじめに戻ってほしい。見てほしい。もっともっと見て。見て、今ここにいる私を感じてほしい。
「孝平君」
「なに?」
じっと彼へ視線を注ぐ。彼のほうが照れるくらいにまで。
「カメラで撮られるだけじゃ、イヤ。せつないの」
弱々しく、甘える。彼よりも年下になって、声を震わせる。見上げる目は、精一杯媚びている。
「そ、それは」
孝平君の喉が揺れた。なかで液体が流れ落ちている。
私は小首をかしげて、流し目を送る。
「わかってるでしょ。今の私の気持ち。ずっと孝平君に見られて……ああっ、モデルってこんな気持ちになってしまうのね。孝平君も、我慢していて、だからあんなに」
そうだった。モデルをしてもらったあとの行為は、激しかった。そのときは単にしょうがない人と思っていたけど、モデルになった今、彼がたまらない気持ちでいたことを痛感する。
淫らな液が漏れて、ショーツに染みてる。今シャッターを切られたら、はしたない思いがそのまま記録されてしまう。
恥ずかしいほど高まった今こそ、肌を合わせてほしい。機械に記録しないで。あなた自身に刻みこんで。
お尻を床につけたまま、両手を彼へ伸ばす。
カメラが脇に置かれた。彼の手にはなにもない。
じっと私を見つめてくる。私は熱く熱くほてって、感じてしまう。
一歩、また一歩、迫ってくる。
なにも持ってない手が私を求めて伸びてきて、触れた手の指と指とが絡みあい、すぐに体も重なった。肌で私を感じてもらうだけで、甘い幸福感に包みこまれた。
やまぐう様の描く『葛城朋香』のお話はCanvasシリーズにはない視点が多いので、絵描きとしても読んでいて面白いです。それにしても、年下(後輩)モードになったときの孝平、強すぎ(笑) かなでさんシナリオでは描かれない孝平の一面ですね。
基本的に、ブタベが描く下着はシンプルなのが多い(というか手抜き?)のですが、今回はあえて色々と作りこみました。まるで正月の菜月以来です(笑) まぁ…作りこんだと言っても、ブタベの絵なのですが(^^;

こちらはトリミングしていないものです。絵としてはこれでもいいのですが、文章の中に入れると据わりが良くないので、こちらにて。やーストッキングに包まれた足を描くのはいつも楽しいです。
>冥界の性神官様
おかしい…本人の紹介では「品行方正な優等生神官」のはずなのに…邪念だらけだというのか(^^;ブタベストPERFECT GIRL…?No Titleこんばんは、いつも見ているゾ。
>担当声優沢澤砂羽さんの声は演技力高くて中毒性がありますねー。
冥界の性神官様ェ・・サツキヒスイ冬が始まる…よ?もうすぐ春ですねぇ、と春分直前に言う人ついに春になってしまいました…返信できてなくてすみませんです。
> なぜか不正な投稿扱いに…なんでだ
むむ、すみません。
イマイチFC2ブログのセキュリティの網はブタベスト冬が始まる…よ?ようやく寒くなってきましたコメントを書こうとしたらなぜか不正な投稿扱いに…なんでだ。
恐ろしく暖かいかと思えば急激に寒くなったりと変動が激しいですね。
こちらも文章や改造絵が遅々としてひでやん